風に立つライオン

2011年8月24日
     かつて卒業を間近に控えた3年生に、さだまさしさんの「風に立つライオン」という曲を紹介したことがあります。生徒の皆さんは、やがて必ず庄内中学校という森を出て、新しい草原に出て行くことになります。草原では強い風も吹いて来ますし、食べ物がなく飢えに苦しんだり、孤独に悩むこともあるかもしれません。
     「ライオン」であるということは、誰にでも噛みつくということではありません。確かに、時に自分より強い相手に立ち向かい、牙をむいて噛みついていかなければならないということもあります。しかし野生のライオンでさえ、必要な時以外は、近くに餌となるウサギがいても決して襲ったりしないといいます。
     ここでいう「風に立つライオン」とは、強い意志をもち、仲間を守りながら悠然と生きようとする人間の姿であると思います。その際に大切なものは、「ライオンの目」だと思います。草原に出た君たちにはいろいろな出会いがあると思います。そんなとき、自分が犯してしまった過ちについて厳しく注意されるような場面でも決して俯いたりすることなく、相手の目を見て話を聞き、真摯にその言葉を受け止めることができる強さを持つこと。また、傷つき涙を流している友だちの傍で、その人の目を見て自分の言葉で語りかけるやさしさをもつこと。
     人に対して話を目で聞き、目を見て話しかけることができる、君たちには、そんなライオンであってほしいと思います。そしていつかその瞳に広い草原の向こうにある大きな夢が映ることを願っています。