朝会 ~人権週間 校長先生のお話~

2024年5月27日
    もうすぐ6月。新年度が始まって約2か月が経とうとしています。

    今年も私から各学年に伝えているテーマは 

    1年生「13歳の自律」
    中学校生活はどうですか?学年目標は「一生懸命」と「自律」ですね。
    この2か月、小学校の時より「自律」したと思えることがありますか?
    始まったばかりの中学校生活です。何事にも「一生懸命」取り組み、じっくりと時間をかけて、少しずつ「自律」していきましょう。

    2年生「14歳の挑戦」
    先週は野外活動がありました。大自然の中、仲間と助け合うことに挑戦した3日間。キャンプファイヤーは学年が一つになって全力で楽しみました。グループで協力して取り組んだカレー作り、大成功でした。すべての活動を支え、仲間をリードしてくれた実行委員の皆さん、ありがとうございました。
    3日間でしっかり成長した2年生、皆さんのよさを、これからの学校生活でも思う存分発揮して、「14歳の挑戦」を続けてください。
    そして、3年生は、「15歳の志」
    4月の修学旅行では、自分たちの修学旅行を自分たちの力で充実した楽しいものにしようとしていることを感じ、とても嬉しく思いました。実行委員を中心に主体的に考えたルールを守り、3日間をとおして、自分以外の人のことを考えて行動している様子もよくわかりました。最終日、皆さんがクラス別体験活動に出発した後の部屋には、今年も、ホテルの方たちへの感謝の気持ちを表した手紙がたくさん残されていました。人のために働く人へ感謝ができる人は、他者を尊重できる人です。そして、そういう人もまた、自分のよさを人のため、社会のために生かすことができます。そんな皆さんなら、必ず「15歳の志」をもって卒業式を迎えられるはずです。2年生の時から準備をしてきた実行委員の皆さん、ありがとうございました。
     

    さて今日から天竜中では「人権週間」が始まります。
    全国的には人権週間は12月にありますが、天竜中では、じっくり人権について考えて、学校生活に生かしてほしいということで、今年はこの時期に設定しました。

    人権とは何か?今日は、少し難しくなりますが「人権」について話をしたいと思います。

    人権とは「人が生まれながらにしてもっている人間らしく生きる権利」のことです。

    日本国憲法11条では 「基本的人権」として「国民はすべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在および将来の国民に与えられる。」とされています。
    「享有」とは「生まれながらにもっていること」。「侵す」とは「他人の権利などを奪うこと」です。難しい言葉ですね。
    もう少し簡単に言うと、私たちは、みんな、生まれながらに人間らしく、自由に、幸せに生きる権利をもっていて、それは、誰かや何かに邪魔されるものではなく、生きている限り持ち続けることができるものである、ということだと思います。
    ここで忘れてはいけないのは、その権利は、自分だけではなく、すべての人間に平等にあるということです。誰かにとっては幸せなことが、別の誰かにとって、とても不幸なことだとしたら、その権利は「人権」とは言いません。

    では、どのような権利が「人権」なのでしょうか。
    日本国憲法では、大きく分類して5つの基本的人権が規定されています。
     
    平等権、自由権、社会権、そして、これらを守るための請求権、参政権があります。

    3年生はこれから公民の授業で勉強していきますが、あまり身近な言葉ではないので、ピンとこない人も多いと思います。特に上の3つについて具体的に考えてみます。

    私たちが毎日、人間らしく幸せに生活するためには常に、安心して安全に暮らせることが必要だと思います。それには、どんな権利が守られていたらいいか・・・という視点で考えてみます。

    例えば
    食事や睡眠をしっかりととることができ、健康な生活ができる。
    病気やケガをしたら治るまでしっかりと治療をすることができる。
    勉強や運動に取り組んで、将来の目標を見つけ努力できる。
    自分が希望する仕事に就いて収入を得て、安定した生活を送ることができる。
    自分を受け入れてくれる家族や仲間がいて、お互いに思いやって生活できる。
    自分の考えや思いを、聞いてほしい相手に伝えることができる。
    他人からの暴力や誹謗中傷、いじめなどを受けることがなく、障害による差別などもなく、安心して生きることができる。

    だれもが安心・安全な日常生活を送れる、ということを考えたら、こんなことが思い浮かびました。
    ここで、自分以外の誰かや、何かの出来事によって、これらが奪われてしまっている状態を想像してみてください。

    例えば、いじめによって学校に来られなくなり、人と接することが怖くなってしまった人がいたとしたら、それは、いじめた人が、相手が幸せに生きる権利を奪ってしまった、ということになります。つまり、いじめは相手の人権を奪う行為だということです。

    「人権」とは、だれでも平等にもっているはずのものだからこそ、実は、簡単に他人の手によって奪うことができてしまうものでもあるのです。

    大切なのは、自分の人権を守るだけではなく、他者の人権も尊重し、互いに幸せな生活を築いていく努力をすることです。
    そして、中学生である皆さんには、世界にも目を向けてほしいと思います。貧困により今日食べるものがない人、安心して眠る場所がない人、環境破壊により健康な生活を送れない人、戦争により常に命の危険と隣り合わせで暮らしている人など、本来、平等にもっているはずの人権を全て奪われてしまっている人達がいる、ということも知らなければなりません。
    もう一つ、天竜中の学校教育目標を思い出してください。
    「多様性を認め合い 志をもって主体的に生きる生徒の育成」の中の「多様性を認め合う」ということは、他者の人権を尊重するために必要なことでもあるということを伝えておきます。

    「多様性」とは「集団の中に異なる特徴や特性をもつ人がともに存在すること」です。

    異なる「多様性」を互いに認め合うということは、誰もが人間らしく自由に幸せに生きる権利である「人権」を尊重することにつながり、そういう社会になれば、みんなが安心して自分のよさを出し合い、互いに良い影響を与え合って、成長していけるのだと思います。

    学校も一つの「社会」です。誰かの「人権」が侵される学校であってはいけません。
    人権週間にあたり、ますます、互いの人権を尊重し合って、一人一人のよさが輝く学校になっていくことを望みます。各学級でも人権について考える時間があることと思います。自分や他者の人権についてじっくり考えてみてください。
     
    もうすぐ6月、校内テストもあります。それまでの合言葉は、今年も「やっちゃえ、勉強頑張りましょう。