3学期がスタートしました。子供たちに向けた話を掲載します。本年度の最後まで、よろしくお願いします。
<校長式辞>
今日から、本年度のまとめと来年度に向けての準備をする3学期のスタートです。「3学期を、中学校生活を、最後までやり抜くぞ」というような、湧き上がるような気持ちみたいなものはありますか。3人の代表者のことばからは、それを感じることができよかったです。
さて、皆さんはNHKの大河ドラマに関心はありますか。なくてもいいのですが。今年は、浜松にもゆかりのある「家康」がらみで盛り上がりそうですが、昨年1年間は「鎌倉殿の13人」が放映され、私は楽しませてもらいました。源頼朝(大泉洋)の時代から北条義時(小栗旬)による執権政治までのあり様が興味深く表現されたドラマでした。皆さんは、(ドラマを視ていた・視ていなかったにかかわらず)今から800年ほど前の「鎌倉時代」とは、どんな時代だったと捉えていますか。
私は、こんなことを感じました。
・自らの思い成し遂げる、自分の立場を守るためには、幼い頃からの仲間(御家人)や自らの家族をも陥(おとしい)れる、命までも奪うというようなことが、当り前のように行われていた時代なのだなということです。執権政治を司った北条義時(小栗旬)の変貌ぶりは、どうしてなのという感じでした。ただ、あれが彼の本当の思いを実践した姿だったのか・・・、当時の時代背景においてそうせざるを得なかったのかなとも思いました。
しかし、その父義時(小栗旬)の跡を継いだ、息子の3代目泰時(坂口健太郎)は、・・・。ドラマでは詳しく描かれませんでしたが、父義時(小栗旬)の姿を見て、いろいろなことを学んだからなのでしょうか、泰時(坂口健太郎)のことを調べてみると、次のように形容する言葉がたくさん示されていました。
『寛容・融和 自分よりも人のこと 慎み深い、他の御家人を立てる 立場の弱い人にも情けをかける 人の世のあるべき姿で 正直を尊び、人としての道理を通す』等々、父とは対照的なあり様と言えるのかどうかわかりませんが、独裁ではなく、政治を、私の心でなくどんな立場の人にも同じ気持ちで関わっていく・接していくというような、公の心を持って進めた人物なのでしょうか。「ゆるす」「ゆるさない」を上手にコントロールできた人物なのでしょうか。私が特に印象的なことは、彼がつくり上げたといわれている当時の法律『御成敗式目』の中に、
・争いの元となる悪口はこれを禁止する。重大な悪口は流罪、軽い場合でも牢に入れる
・人に暴力を振るうことは・・・その罪は重い。御家人が暴力を・・領地没収する
・言葉たくみに人をだますことの罪は大変重い。役職が欲しいために嘘をついた者はその職に就くことはできない
等の条文があることです。皆さんはどう感じますか。これだけAIが取り入れられ、進化している(800年以上経った)今の時代にも、人と人との関り方におけるあるべき姿、戒めの内容として捉えられる、とても意味のある条文ではないでしょうか。でも、この条文が今でもそうあるべき姿だと感じること自体、人の心や言動というのは、鎌倉時代から800年以上も経過しているのに、いまだ進化しきれていないのか・・・と考えさせられることでもあるなと思ってしまいました・・・。
改めて、今日欠席している級友も含めて、みんなで楽しく、最後のいい時間を過ごす3学期でもあります。すべての活動、取組・・・最も大切な人間関係においてもしっかりけじめをつける、そんな悔いのない、短くても意味のある学期を過ごしていきましょう。以上で、3学期の始業式のことばとします。