書写 ~我が国の伝統的な文字文化~

2024年10月23日
     今の時期、積志中学校の国語の授業では、毛筆を使った書写を行っています。教室には、墨汁の独特な香りが漂い、生徒たちが静かに筆を運ぶ姿が印象的です。普段はタブレットパソコンやスマートフォンを使いこなす生徒たちですが、書写の時間になると、デジタルとは一線を画した集中力と静かな緊張感が教室を包みます。

     墨汁に筆をつけ、文字に向かい合うこの時間は、ただ文字を書くことだけでなく、日本の伝統文化に触れる機会でもあります。生徒たちは、普段の授業では見せないような真剣な表情で、一画一画を丁寧に書き進めます。字を美しく書くためには、力加減や筆の角度、呼吸まで意識しなければなりません。その一瞬一瞬の集中が、完成した作品に表れます。完成後、作品を見比べたり、お互いの字を見て感想を言い合ったりする姿も、教室の温かい光景の一つです。

     タブレットやパソコンが広がり、デジタルツールが学習の中心となりつつある現代においても、毛筆で文字を書く体験は、言葉の持つ力や美しさを再認識させてくれます。デジタルの便利さと伝統文化の重みは、それぞれが異なる価値を持ち、共存することが大切です。技術の進歩が進む中で、毛筆を使った書写の授業は、これからも日本文化を大切にする心を育む大切な時間であり続けることでしょう。

     生徒たちの集中した姿と、完成した作品からは、毛筆文化の大切さが伝わってきます。このような体験を通じて、未来の世代に日本の伝統が受け継がれていくことを願っています。