1年生 防災講座

2024年11月28日
    11月21日(木)の5、6時間目、1年生が防災講座(防災オリンピック)を開催しました。
    講師は、NPO法人減災教育普及協会理事長の江夏さん。
    減災の重要性を広く知ってほしいと講演で全国を飛び回っている方です。
    この日のためにわざわざ横浜から来ていただきました。
    「地域減災力向上プロジェクトin静岡県浜松市」として、「学校では教えてくれない減災の話 ~災害から命を守るために、本当に必要な知識ってなぁに?~」がテーマ。
    浜松市消防団の皆さん、市議の北野谷さんも応援協力で参加。

    「今日は、皆さんの“ひなんの力”をパワーアップしたいと思います」
    「地震には2つの備えが必要です」
    ①生き残るための備え…命を守ること
    ②生き残った後の備え
    「生き残るために避難がうまい人になってほしいです」
    「浜松の皆さんは、どんな避難訓練をしているのかな。やってみましょう」
    【訓練1】
    「みんな地震がきたよ」
    「すぐに頭を守って!」
    子どもたちはみんな、その場で頭を抱えてうずくまりました。
    「皆さんは何から頭を守ったの?」
    みんな天井を指さします。
     「天井」「照明」「バスケのゴール」
    「この体育館も耐震化がされているのかな」
    耐震化されていると思う子、耐震化されていないと思う子が半々くらいで手が挙がりました。
    「しっかりと耐震化されています。それでも天井を見てください。骨組みの部分は特に丈夫ですが落ちてこないわけではない。天井板も留まっていますが落ちてこないわけではない」
    「先ほどの皆さんの頭を守る行動で、天井から落ちてくるものから自分の身を守れますか?」
     
    「ひなんの基本は『キケン』を正しく知ることです」

    「さて、浜松で今起こると言われている地震は何ですか?」
     「南海トラフ地震です」
    「そうですね。では、南海トラフ地震の震度は最大どれくらいと予想されているか知っていますか?」
     「震度7」「震度5強」…
    「震度6強、マグニチュード9.0、その揺れは3~5分以上続くと言われています」
    「この『震度6強』というのは、『耐震化された建物が崩れるレベル』なんですよ」
    「内閣府では、こうした地震予測を発表しています。南海トラフ地震では、32万人以上の死者・行方不明者が出ると。浜松市では23180人が亡くなるとの予想です」

    続いて、東日本大震災の実際の映像を見ました。
    激しく横揺れする家具。
    揺れは1分以上続きます。
    耐震化されていた建物が崩壊する様子がとても怖かったです。
    「皆さんにとっての危険は、落下物だけではありません。横から移動してくるものや横から倒れてくるものもあります」
    天井が激しく崩壊した体育館の写真も見せてくれました。
    「この写真体育館は、避難場所として指定されていたんですよ」
    「卒業式を開催していたコンサートホールの天井が落ちて、教員が2名もなくなりました」
    「体育館の天井材の重さはどれくらいだと思いますか?」
    「みなさんには、この板の重さを実感してもらいますね」
    消防団の方に補助してもらいながら、板を持ち上げてみました。
     「うわ~、重い」「無理」
    この板は20㎏もあるそうです。
    この板が落ちてきたらと思うと恐ろしいです。
    「もう一つ『揺れ体験』をしてもらいます。揺れの強さってどれくらいかを体験しておくことで、将来の危機に備えられます」
    「ユレタ」という揺れ体験専用のマットを用いて横揺れ体験をしました。
    「震度6強はオレンジ色。揺れ幅は65㎝くらいでしょうか」
    マットの中央で身体を守り、両サイド4人ずつが取っ手を持って左右に揺らします。
    最初は、「ダンゴムシのポーズ」そして「カエルのポーズ」、最後は「トカゲのポーズ」で体験。
    「揺れている間にも危険を予測して、より安全な場所へ移動しなければなりません。揺れながら周囲を観察し、危険が少ない場所を求めて逃げましょう。トカゲのポーズでも這って移動することは可能です」

    自分の身体のコントロールができず、転がる子どもたち。
    先生方も無残にころがります。
     「踏ん張れません」
     「ふわふわと目が回る感じ」
     「転がされて周りを見る余裕はなかったです」
    ほとんどの子が揺れ体験をして、実際の地震で自分に何ができるかを考えました。
    体験の最後には、辻村さんと下石さんが立った状態で弱い横揺れを体験。
    わずかな揺れでも立っていられませんでしたが、すぐに低い姿勢になって避難ができました。
    「楽しく学んでくれたみたいですね」
    「では、学んだことを生かして2回目の訓練をしてみましょう」
    「キケンが少ない場所に移動することです。そのためにキケンを知ることが重要」

    【訓練2】
    「地震がきました」
    「避難しなさい!」

    1回目には、その場でダンゴムシのポーズをしていた子どもたちでしたが、今度は、合図とともに体育館の中央を避けて周囲の柱や落下物から身を守れる場所へダッシュ。
    「人の行動につられることってありますね。今も少しそうでした。人の後をついて行って安全である保証はありません。自分で考えることが大事だよ」
    「じゃあ、もう1回やってみようか。元の場所に戻って」

    「地震です。避難しなさい!」
    先ほどよりさらに安全な場所に速やかにダッシュできました。
    ある小学校で行われてた避難訓練の様子を見ました。
    昼休みにグランドで遊んでいる子どもたち。
    そこで緊急地震速報が流れ、安全を確保するように放送が流れました。
    すると、小学生たちのほとんどは校舎内の自分の机の下を目指して走り出しました。
    グランドで身体を小さくして避難した子は10人ほど。
    子どもたちの目にも異常だと映ったようです。
     「なぜわざわざ危険な校舎内に戻ったの?」
    そこには集団心理も働くといいます。

    「地震が起きたら机の下に入って頭を守る」
    これは幼児の頃に教えられたもので、日本人は、中学、高校、大人になってまでそうしようとします。
    江夏さんは、その時の状況からどんな危険があるのかを判断できること、「危険について考えて行動する」ことができなくなっていることに警鐘を鳴らします。

    最後に江夏さんからのメッセージ。
    「予想される地震を知り、予想されるキケンを知り、被害は地震の前に減らしておこう」
    「しっかりと地震に備え、誰も死なないようにしてください」

    子どもたちからもたくさんの感想が発表されました。
    「私たちは『机がなかったらダンゴムシのポーズ』と教わってきました。今日のお話を聞いて、改めて怖さを知ることができました」
    「今まで教えてもらえなかったことにたくさん気づくことができました。ありがとうございました」
    「いざというときの避難に生かしていきたいです」
    「登下校の間にも様々な危険があると思うので、そうしたことを考えられるようになっていきたい」
    1年学年主任の先生からも
    「教員として考えさせられ、学んだことが多くありました。今後の安全な学校生活のために生かしていきます」

    江夏さん、貴重なお話をありがとうございました。