感動の『第49回卒業式』その2です。
今日は卒業生代表の述べた『答辞』の原稿を載せます。
答 辞
暖かいそよ風。桜の蕾。うぐいすの鳴き声。何もかもが、めぐりくる出会いの季節に向け変わっていく今日、私たち一〇三名は九ヶ年の義務教育の全課程を修了し、思い出に満ちたこの庄内中学校を巣立つ日を迎えました。
丈の長い制服を身にまとっていた日も、戸惑いながら自己紹介をした日もまるで昨日のことのように思い出されます。
不安と期待に胸をときめかせながら正門をくぐった入学式。小学校とはどこかちがう雰囲気と新しい友、新しい先生方との新しい生活が始まりました。そして私たちにとって、また、庄内中学校にとっても初めてである二つのことを体験しました。
一つ目は入学して間もない頃に行った観音山での野外活動です。まだ緊張が解けきらない仲間との絆をぐっと深めてくれました。共に生活をする中で、相手を思いやり、気遣い、励まし合うことの大切さを学びました。多くの体験をし、少し成長することもできました。
二つ目は三年生になってから行った長崎への修学旅行です。事前学習は三年生になる何ヶ月も前から始めました。平和学習では、今こうして当たり前に呼吸をして友達と笑いあえることの素晴らしさ、一生懸命生きることの大切さを学びました。被爆者の方の講話を聞き、初めて戦争というものを身近に感じることができました。日本の悲惨な歴史や平和について考えれば考えるほど、戦争は二度としてはいけないものだと強く感じました。多くの思いや願いを共に分かち合うことで「この仲間となら何でも話せる」という信頼を築きあげることもできました。
まぶしい太陽に照らされながら汗を流した体育大会。庄内中学校の伝統となった縦割り集団でのソーラン節は今年も感動的でした。初めはまとまりのなかった個人がクラスとして団結し、それぞれの色に染まることで庄内中学校が一つになりました。一つになった瞬間、自然と運動場にできたのは、縦割り集団を超えて組んだ円陣でした。その中心にいた団長達の笑顔は猛暑だったあの夏の太陽よりも輝いていました。
潮鳴祭を控え、クラスの中では合唱練習への温度差を感じていました。時にはぶつかり合い、時には励まし合い、最後には互いに理解し合いながら、再びクラスが一つになれると信じて歌い続けました。潮鳴祭当日。ピアノのメロディにのせ、雄踏文化センターに響いた歌声には自分でも驚きました。ひとりひとりの力はちっぽけかもしれません。しかし、小さな力が集まると、とてつもなく大きなパワーになるのを感じました。大きくなったパワーを発揮できたのは、互いに高め合うことのできるライバルがいたからです。庄内中学校全九クラスが真剣に練習し、本気で臨んだ大舞台だったからこそ、会場を感動のメロディで包むことができたのです。
それぞれに大きな壁が立ちはだかったのは二学期後半からの進路選択です。それは自分との戦いでした。迷って、悩んで、つらくて逃げたくなるときもありました。あきらめてしまおうと思ったこともありました。でも、そんなとき友達は言ってくれました。「何があっても一緒に頑張ろう。」と。辛いとき、苦しいとき一緒にいてくれたのは仲間たちでした。あのとき、感動を分かち合った仲間たちでした。みんながいたから乗り越えられた壁でした。
「冬来たりなば春遠からじ」
この言葉の通り、私たちは厳しい季節を乗り越え、それぞれの進路を決めることができました。みんなに、出会えてよかった。ありがとう。
在校生のみなさん、今いただいたすばらしい門出の言葉を、私たちはしっかりと胸に刻みました。みなさんがいるから良き手本になろうと決意した日のことを、今でもはっきりと覚えています。何かと至らない先輩でしたが、私たちはいつでもみなさんの味方です。これからはあなたたちがこの庄内中学校の看板を背負い、良き伝統を引き継いでいってください。そして庄内中学校のさらなる発展のために労を惜しまないでください。
いつも明るい挨拶で私たちを見守ってくださっていた地域の皆様、本当にありがとうございました。皆様の御協力のおかげで私たちは職場体験やパパママ体験をすることができました。それぞれの体験で感じた仕事への情熱ややわらかい肌の温もりは私たちの心の中にいつまでも残ることでしょう。そしてそれらは、はままつの明るい未来をつくる私たちの糧となるはずです。
いつも一番近くで支えてくれていた、お父さん。お母さん。今日という晴れの日を迎えさせてくれて本当にありがとう。反抗しても、最後まで私たちと向き合ってくれ、時には共に悩み、時には強く背中を押してくれました。面と向かっては言えないけれど、いつも感謝の気持ちでいっぱいでした。これからも迷惑をかけてしまうことがあるかもしれませんが、もう少しだけ見守っていてください。いつか立派に親孝行ができるその日まで私たちは努力し続けます。
最後になりましたが、校長先生をはじめ、熱心にご指導いただきました諸先生方。これまで本当にお世話になりました。先生方にご指導いただいたこの三年間、私たちにとって無駄なことはひとつもありませんでした。校長先生のお話はいつでも私たちの心に暖かい火を灯してくださいました。心の中にあるガラスは曇らないように磨き続けます。心の中の針がプラスを指すような言動を心がけます。そして、笑顔で挨拶を交わすことで周りの人も笑顔にできる人になりたいと思います。私たちは、はままつの未来を担う者として、礼を正し、素敵なマナーを身につけた大人になることを誓います。
三年という月日は○○○のようにあっというまに過ぎてしまいました。明日からは同じ教室で勉学に励むことも、ここにいる仲間と他愛のないおしゃべりをすることもなくなってしまうと思うと、寂しいです。名残は尽きませんが、別れの時です。人との出会いを大切に、私たちは未来を信じ、今、旅立ちます。
平成二十三年三月十七日 第四十九回卒業生代表 石塚圭央里
『卒業生別れの歌』の1場面