卒業式(3月18日) 校長の話

2022年3月28日
    【 卒業式(校長のお話) 】

     皆さん、制服を着て
    この場に立つことは二度とありません。ゆっくりと周りを見回しましょう。その風景をぎゅっと心に刻みましょう。  
     座ってください。

     
     一昨日、地震がありました。戦争が起き、多くの命が奪われています。コロナはまだまだ予断を許しません。
     
    亡くなった方のご冥福、多くの命が救われること、少しでも被害が小さく、平和な日々が早く訪れることを、
     
    皆さんで祈りませんか?
     目を閉じてください。ご協力ありがとうございました。
     
     卒業証書を開いてください。
     
    青島さん、あなたの卒業証書の右上の番号は?8289  ありがとう。和賀さん、あなたの番号は?8382  ありがとう
     そして、皆さんの番号は?
     それはあなただけの番号です。第1回卒業生からチェーンのようにずっと繋がっている番号。
     
    誰一人欠けても繋がらない。そして、後輩達へと永遠に引き継がれていく番号。
     今日、あなたは七十五年の伝統を紡ぐ一人となりました。約束してください。
     「私は都田中の卒業生だ」
     
    と胸を張って言える人生を歩んでください。
     
     3年間を振り返ると、様々な行事が縮小・延期・中止となりました。
     でも、「コロナだから」じゃない。「コロナだけど」「コロナだからこそ」。部活動、合唱コンクール、天白祭。そして進路。
     みんな、くじけなかった。歯を食いしばって頑張った。
     本当に素晴らしい。そんなあなた達は、私達の誇りです。
     
     そして、そこには皆さんを支えてくれた人がいた。皆さんの後ろに。
     保護者の皆様、語りつくせぬ多くの喜びがある一方、
     
    時には憤りを覚えるほどの諍いや涙するご苦労があったことでしょう。
     しかし、どんな時でも決して見放さず、我が子とともに歩んでくださったこと。
     また、都田中の教育活動に、格別のご理解とご協力、いつも温かな支援をいただいたこと。
     生徒の皆さん、感謝の気持ちを込めて、保護者の皆様に拍手を送りませんか?
      温かな拍手、ありがとう。
     
     
     皆さんを支えてくれた人は、左側にもいる。
     朝早くから夜遅く、休みの日までも、皆さんの想いの実現のために頑張りました。
     3年の先生、立っていただけますか。
     
    こんな熱い気持ちをもった先生と、出会えた皆さんは本当に幸せです。
     3年の先生に拍手を送りませんか?
     温かな拍手、ありがとう。

     でも、コロナがあり、戦争が起きました。今、この瞬間も多くの人が命を奪われています。
     差別、貧困、温暖化、様々な問題が世界には溢れています。そして、また新たな問題が生まれている。
     私達の周りでさえ、いじめを始めとして様々な問題がある。コロナ・戦争・差別・いじめも、とてもとても解決が難しい。
     
    私達ができることはなんだろか。
     
     南アメリカの先住民にはこんな話が伝わっています。

     森が燃えていました。
     森の生き物たちはわれさきにと逃げていきました。
     でもクリキンディという名のハチドリだけは行ったり来たり。
     口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは、
     火の上に落としていきます。
     動物たちはそれを見て
     「そんなことをしていったい何になるんだ」
     と笑います。クリキンディはこう答えました。
     「私は、私にできることをしているだけ」

     
     環境ジャーナリストの枝廣さんは物語を次のように続けました。

     燃えているのを見たハチドリは、仲間を増やそうと思いました。
     「それぞれが1羽ずつ仲間を増やすように伝えて!」
     2回伝わると4羽が、3回伝わると8羽が、
     10回伝わると1024羽が、
     20回伝わると100万羽以上が、
     そして40回伝わると1兆羽以上のハチドリがやってきて、
     あっという間に火事を消してしまいました。

     
     病気と闘っている人がいる。
     平和をために、頑張っている人がいる。
     そして、東京オリンピック、北京オリンピックでは
     アスリートが命を燃やし、命を輝かせた。
     多くの人が全力のプレーに敬意を表し、心を揺さぶられた。
     
     人間には無限の可能性と未来がある。
     私達は微力かもしれないが、無力ではない。
     そして、一生懸命頑張るあなたの周りには、あなたを応援しようとする仲間がたくさんたくさんいる。
     きっときっとあなたを助けようとする人が現れる。
     あなたが問題を解決しようと描いた夢や希望、それらが叶うよう、心から応援し、祈っています。
     皆さんが生きていく世界が、皆さん一人一人の力によって、素晴らしい世界となっていきますように。
     
     「他喜力と主体性」の75期生の皆さん、
     ご卒業、本当におめでとうございます。
     
     成長していく皆さんを見ること、出会えたこと、とてもとても幸せでした。
     本当に、ありがとうございました。

     皆さんが大好きです。
      
     令和四年三月十八日      浜松市立都田中学校長 安藤 篤喜
     

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